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      ケムの日々是好日

      ケムの日々是好日

よっぽどのご縁

 2006年・2月23日 
 ホテル天地閣にて(社)日立法人会青年部の新春講演会を開催しました。

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 講師は薬師寺僧侶・潮来市、水雲山 潮音寺の副住職でもある大谷徹奘(てつじょう)和尚

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部会長挨拶

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 社団法人日立法人会青年部の部会長を務めております、煙山です。
本日は、お寒い中、またご多用にも拘らず、こんなにも沢山の皆さんにご参集いただき
この新春講演会が開催されますことを、主催者として心より感謝をいたします。

 この講演会は、親会である社団法人日立法人会殿に後援を戴き、日立商工会議所の
中小企業相談所殿の協賛を戴いて開催されました。感謝いたします。
また、受付からお出迎えまでを大同生命株式会社の皆さんにお手伝い戴きましたことにも
心から感謝をいたします。


 私たち青年部会員は、健全なる納税者となるべく税の勉強をしたり、人間として
家族や社員さんたちの手本となれるよう、いろいろなことを学んでおります。

 しかし至らない私たちであり、幾ら学んでも学びつくせないこの長い道のりですから、
道しるべとして、本日は、大谷徹奘和尚をお招きすることになりました。

 親会である社団法人日立法人会の会長を初め、女性部会の皆様、受付などを引き受けて
くださいました大同生命保険株式会社の皆様、そして広く集ってくださいました市民の皆様
 そして法人会活動にご指導をいただいております税務署の皆様にとって、本日の講演会が
有意義なものになることを心より祈念いたしまして、御礼の言葉といたします。

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 ここで、日頃からお世話になっている日立税務署の方がお見えになり壇上に立ち
e-Tax・国税電子申告・納税システムについてのPRをしてくださいました。
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法人の皆さんに限らず、個人の確定申告にも使えます!


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司会は副部会長(後方)、講師の紹介は、大谷和尚との交友関係にある研修委員


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 大谷和尚の講演より

 まず、大谷和尚は僕たちに背を向けて、演台に深々とお辞儀をしました。

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まず、ここに立たせて頂ける「ご縁」に感謝をしたのです



 人と人を繋ぐものはどなたもご存知の通り「挨拶」です。

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この字の元になっているのは「一挨一拶・いちあい、いっさつ」と言う言葉です。
お互いが迫る、迫りあう、と言う意味なので、これは目に見える目の前の相手に対する
<あいさつ>なのです。

 これに対して、目に見えないものに対する「礼・れい または あいさつ」は
旧字体で「禮=神+作物」と書きます。
昔の農民、漁民はみな、その年の最初の作物・獲物を、目に見えない神に捧げました。
 
「節・せつ または くぎる」
そのものになりきるための区切り、と言う意味です。

<禮と節>=礼節

礼節の弁えられる人と言うのは、すべてのものを敬う人になりきること、なのです。

 その基本を知った上で、人間の幸せと言うものを定義します。

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「身心安楽・しんじんあんらく」
今の世の中はモノは豊かになりましたが、心は満たされることがない。
身も心も恐れのない状態でゆったりしていられるのが、幸せということでしょう。

 これを「楽身・安心」<らくちん・あんしん>と読みましょう。
世の中の人間は全て、この状態を望んでいるはずなのですが、現実はどうでしょうか?

 仏の教えと言うものは「仏教」そして「仏法」です。
<法>と言う字はサンズイ=水 +去る です。
すべてのものが無常であり、二度と同じ状態にはならないと言うことを知らしめるのが
仏の教えであり、全てのことに当てはまる真実なのです。

 和尚は、薬師寺での修行の最中に「仏様と向き合う苦行」を体験されました。

否定のドミノ倒しの心境に入ったそうで、最初は仏門に入ったことを否定しました。
次に薬師寺に入ったことを悔やみました。
最後には「生まれてこなければこんな苦労はしなかったのに」と、
授かった自分の命まで否定しました。

 しかし、そこまで行って初めて、氏は仏様に本音をぶつけたのだそうです。
「苦しいよ、辛いよ……」
すると、仏様は教本から3つの文字を選んで、氏に示したそうです。

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「歓・宿・縁」……戴いたご縁に感謝しなさい。

「そうか、僕は選ばれてここにいるのだ」
「薬師寺に入門したからここにいる、親を説得してまで仏門に入ったのだ」
「両親に産んでいただいたおかげで、今があるのだ」

 それからの和尚は、素晴らしいご縁をいただくことで、
「自分はその人と、よっぽど縁があったのだ」
と、思えるようになったのだそうです。

 この縁と言うものは良いものも悪いものもあります。
それが悪いご縁であっても、よいご縁であっても……

  縁ありき 良いも悪いも その後のこと

 縁があるのだから出合い、寄り添ったりぶつかったりするのです。

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いま、ここに居る事も「よっぽどのご縁」なのではないでしょうか、と。


人間は、我があります。
なぜ、我を通すのでしょうか?

 人間は自分のことをよく知りません……
自分がどれほど恵まれているか、どれほど家族や友人にに愛されているかなどなど
それらを認めることで、どれほど自分を知ることが出来るでしょう。

 人間は自分を疑うことができません……
自分がどれほど小さな力を持ち、一人では何も出来ない人間であると言うことに
気づかない、認めない人は「私は特別なのに」と思いたがるのです。

これらをおろかと呼びます。

和尚は会場の皆さんに質問をしました。
「10円玉はどんな形でしょうか?」と。
僕は{○ですよね?}と思いました。
「では今から言うことが、正しいと思った人はその都度手を上げてください」
{はぁ?}
「○だと思う人?」
ほぼ全員が手を挙げました。
「長四角だと思う人?」
誰も手を挙げません。
「点、だと思う人」
何ですかそれ? いや、待てよ……
「球体だと思う人」
僕はピクンと反応して手を挙げました。
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 上から見れば○、横から見れば長四角、遠くから見れば点、まわしていれば球体に!

見かた、状態によっては、いろいろなものに見えるということなのです。


和尚は人間の器に「大きい・ちいさい」があるのですかという質問に対してこう答えます。

茶碗の上に小さな穴の開いた茶たくをかぶせます。
伏せてかぶせた状態と、受け皿のようにかぶせた状態との二つの状態があります。

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人の親切な言葉や学ぶべき言葉に出会ったときに、どの状態で受け入れることが出来るかが
その人の器、と言うことになるのではないでしょうか?

そうです、大きさではなくどれだけ自分の中に取り込めていけるかが違いとなり積み重なり
やがて大きな差となって現れてくるのです。

私達は、今生きていることに感謝して、隣にいる人との出会い、そのご縁に感謝して
礼節を重んじて生きることによってのみ、幸せな人生に向かって歩むことが出来るのです。

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謝辞

 大谷さん、今日はありがたいお話をありがとうございました。
先ほどの<10円玉の見え方>のところで、私は○のときに手を挙げました。
次の<長四角>では手を下ろし、何のことだろうと思いました。
しかし、次の<点>のところであることに気がつき、<球体>の所で手を挙げました。

 実はこの新春講演会は数年間続いており、以前にお招きしたコーチングの先生が
私たちに「他には?」「他には?」「他には?」と何度も尋ねたのです。
自分に小さな枠をはめて、物事を決め付けてしまってはいけないと教わったのでした。

 先ほど、最後の球体のときにでも手を挙げられたのは、今まで戴いたご縁や
沢山の素晴らしい種をいただいてきたおかげなのだと、感謝をしています。
そして、この機会を作り、この場に立っている自分を認めてあげたいと思います。

大谷さん、そして会場の皆さん、ありがとうございました。

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 会場から出た和尚は、廊下で本やCDを売り始めました。
お手伝いの方も遠くからやってきて、また青年部の会員も一緒に売ってくれています。

 この売り上げは、潮来にある「潮音寺・ちょうおんじ」の復興に活用されます。
この寺は、一度荒れ果ててしまったのですが、薬師寺が復興を計画し、大谷和尚が
副館長として派遣された寺です。

       檀家なし。お墓なし。

心の学校として成り立つようにと、説法の講演料、本やCDの売り上げを寺の整備に
充てることによって、迷い苦しみながら生きている人の手助けをしたいのだそうです。

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CD・二冊の本・日めくりなどなど100セットは完売でした



 続く青年部会員の懇親会には、親会である日立法人会の会長もご臨席いただきました。
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 和尚と話すうちに色々な思いがこみ上げてきたのですが、会場の会員とも懇親を
交わさなければいけないし、和尚と話したい人も多くいるのでそこを離れました。
僕は、その会場で、なにか暖かく強い絆を感じました。
会場に集ってくれた会員と同じ体験を共有できたことで、新しい関係が築けたのかな。

 それが錯覚に終わらないように、このご縁を大切にして生きたいと思うのです。
また、来たくても会場に来られなかった会員にも、この思いを伝えたいと思うのですが
この記事で、上手く伝えられるでしょうか?

 何かひとつでも伝われば、嬉しいのですが。


                           完



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